老人福祉等の施設は、庭が大変重要な役割を持っています。入所者が心に潤いを持てるように様々な工夫をします。その工夫の中で、安全性の高い遊歩道を導入している例を御覧頂きます。
この老人福祉施設ではコの字形になっている建築物の中に庭を作っています。入所者が洗濯物を干したり、野菜や花を育てたり、動物を飼ったりと、いろいろなことに使っています。痴呆性老人のために安全かつ刺激を与える庭にするということで、建物と建物を行き来する遊歩道には、肉厚ゴムチップ舗装を施工しています。肉厚なゴムチップ舗装を行なうことで、この施設では様々な問題を解決できました。
雑草を駆除するのは大変な労力が必要になります。数少ないギリギリの職員で日ごろの業務をこなしているのに、その上、庭の雑草の駆除などやっている時間はありません。だったらもう雑草の駆除は、1ヶ月〜2ヶ月に1回にしてしまおうというのもよくあることだと思います。
ですが、雑草は成長するのを待ってはくれません。雑草の駆除に少し時間を開けてしまえばとたんに雑草は庭を覆ってしまいます。こんな状況を改善するのにゴムチップ舗装が有効でした。
ゴムチップ舗装は雑草を寄せ付けません。どんなに庭に雑草が生えても、ゴムチップ舗装の上に雑草が生えることはないのです。このことで職員は雑草の除去という仕事から解放されます。1ヶ月〜2ヶ月程度なら雑草はほうっておけばいいのです。いつもゴムチップ舗装の上を快適に歩いて、畑や花に水を与えにいけますし、雑草に邪魔される事もありません。最低限快適に歩ける歩道が用意されていれば、庭に生える雑草は気にならなくなります。1、2ヶ月雑草を駆除しなくても充分に快適な生活をおくることができます。
写真)ゴムチップ舗装の周りには雑草が成長していますが、ゴムチップ舗装には雑草は生えていません。
ゴムチップ舗装を行なう前までは芝生でしたが、雑草が生えてしまい、管理も大変だったので、ほとんど使われない庭になっていました。建物と建物の間を行き来しようにも、雑草が生えてるデコボコした場所を車椅子で横断する事は出来ませんでした。
ゴムチップ舗装を行なって、デコボコした道は改善され、車椅子が通行しやすいようになり、雑草の悩みからも開放され、使いやすい庭になりました。
コストの安いアスファルトで歩道を作ってはどうかとも考えましたが、この施設の入所者は痴呆性の老人や、足腰が弱くなったお年寄りばかりです。転倒して骨折したり、脳挫傷を起こしてしまうような舗装では怖くて使用できないと思いました。また、従来の薄いゴムチップ舗装も考えましたが、薄いゴムチップ舗装の上で転倒した場合、「ほんとにあんな薄さで衝撃を吸収して、ケガを予防できの?」という不安がありました。
そこで、肉厚で耐久性のあるゴムチップ舗装を行ないました。ただクッション性があるだけでなく、真に衝撃を吸収する舗装ということで、実際に使用してみると、ものすごいクッションがあるようには思えませんでした。しかし、ジャンプしたりして、強い衝撃が舗装にかかるようにしてみると、実際に歩いただけのときとは違い、こんなに衝撃を吸収する物なんだと感心しました。
車椅子が通行するときに舗装がブヨブヨして大丈夫かな?と心配しましたが、普通に歩く程度では強いクッション性を発揮しない舗装だったので、車椅子が通行中ブヨブヨすることなく安心しました。どうせなら、段差を無くしてバリアフリーにしたいと思っていたので、ベランダから直接庭に出て、向こうの建物に行けるようにと、つまづきや、段差をゴムチップ舗装で無くしてもらいました。急な勾配を埋めてなだらかにするのに、沢山材料を使うからコストが高くなるんじゃないかと心配でしたが、大粒径のゴムチップは材料コストがそんなにかからないみたいで安心しました。
滑ったりして転倒する事故も心配だったので、実際に舗装ができあがってから観察してみると、舗装の表面は細かいゴムチップで綺麗になっていましたが、隙間が沢山あり、水をよく排水するようになっていました。「なるほど!!雨は全部排水しちゃうんだ。」水が溜まらないなら滑って転倒する事故は起こりにくいだろうと思いました。それに雨が降ったすぐ後でも外に出られるから便利ですね。
東北の山奥にある老人福祉施設なので、冬は雪が1m以上も積もります。通常のゴムチップ舗装の厚みでは、凍結融解に耐えられるか心配でした。実際に、豪雪地帯で行なった薄いゴムチップ舗装は、施工後数年で剥がれてしまっていると聞いていたので、薄いゴムチップ舗装は施工するつもりがありませんでした。
肉厚なゴムチップ舗装は凍結融解に強く、春に雪が溶けた後舗装が壊れたり、陥没したりという悪影響は出ませんでした。
ゴムチップ舗装の色は自由に選べるらしいので、今回は赤にしてみました。多少カラフルな色が庭に好ましいと思ったからです。
ゴムチップ舗装のデザインは、舗装の中央に大きな円を作る事で、庭に出てきた入所者が話をしたり、のんびできるスペースを確保できるようにしました。このようなスペースを作ったので今では天気の良い日にすっかり憩いの場になっています。自由なデザインにして施工できるのも魅力です。
ゴムチップ舗装にどんなメンテナンスが必要なのか?と聞いてみると、「10年間メンテナンスは必要ない!!」と言っていました。ただ、使用していうるうちに色が薄くなるので、気になる場合は再度着色することもあるそうです。着色は数時間で終わるらしいし、数万円〜の費用で行なっていただけるみたいなので安心です。
古タイヤから粉砕された、リサイクルゴムチップを使用していると聞いて、人体に害があるのではないかと心配になりましたが、人体に悪影響があるようなものではないそうです。JATMA/JTRA(日本自動タイヤ協会、日本タイヤリサイクル協会)で各種試験結果を開示しているとのことでした。
ゴムチップを固のに使用している接着剤も日本接着剤工業会「室内空気汚染対策のための自主管理規定」の登録を完了していて、 ホルムアルデヒド等の有害物質を出すことがないです。