翻訳:岩手大学 農学部生活環境工学科 藤井 克己 教授
この文章はASTM基準年報より引用したものである。
ASTM F1292-99
遊び場路面材料系の衝撃吸収特性に対する標準試験方法
翻訳:岩手大学 農学部生活環境工学科 藤井 克己 教授
この文章はASTM基準年報より引用したものである。
ASTMアメリカ試験材料学会
100 Barr Harbor Dr., West Conshohocken, PA19428ASTM基準年報より再版、版権はASTMにあり
最新の合冊目録にない場合は次版に掲載の予定
目次
・・1.適用範囲
・・2.参考文献
・・3.専門用語
・・4.試験方法の要約
・・5.意義と利用方法
・・6.試験装置
・・7.試験試料
・・8.試料数
・・9.試料調整
・・10.試験手頂
・・11.計算
・・12 報告書
・・13精度と偏差
・・14.キーワード
遊び場路面材料系の衝撃吸収特性に対する
標準試験方法1)
この基準は協会指定の番号F355に基づいて発行されている。指定番号に続く数字は最初に認可された年、改訂の場合は最後に改訂された年を示している。またカッコ内の数字は再認定の最終年を示す。上添字イプシロン(
E)は最終改訂や再認改訂版の変更を指す。
1.1 この試験方法は、遊び場路面材料の衝撃吸収特性、衝撃力と時間の関係、反発特性などを取り扱う。この試験方法は、遊び場路面の自然および人工材料、そしてそれらの成分に対し適用できる。典型的な遊び場路面は、レスリングマット、フットボール場、サッカー場などである。
注意1 − この試験方法は保護パッド、例えばトランポリンの枠の上やフットボールのゴールポスト、体育館の壁、肩パッド、胴パッドなどの材料の衝撃減衰特性の測定にも用いられる。完成した製品を試験する際,いくつかの改変をせずに実施すべきではない。
1.2 SI単位で示した値を標準とみなす。カッコ内の値は情報程度のものである。
1.3 この基準は、その運用に関わる全ての安全性を扱うと主張するものではない。安全性を適切に保ちながらこの基繕の健全な運用を確立し、使用に先立ち規定の適用範囲を定めることは使用者の責任である。
2.1 A S T基準:
D1596 パッケージ材料の動的衝撃クッション特性試験2)
E105 材料の確率的サンプリングの実際3)
E122 ロットやプロセスごとの平均的性質を推定するための試料サイズの選定の実際3)
E691 試験方法の精度を決めるための実験室間共同研究の遂行の実際3)
E1292 プレイグラウンド遊具の下及び周囲の路床系の衝撃減衰に関する仕様書4)
2.2 SAE基準:
SAE勧告 J211’90 10月,衝撃試験のための器具使用法,チャンネルクラス1000のための必要事項
3.1 本基準に固有な用語の定義:
3.1.1 遊び場路面材料−衝撃路面、エネルギー吸収材、そしてあるならばその下層材料を含む成分
3.1.2 基準線−遊び場路面の最初の比較面で、これより全貫入量が決まる。手順Aでは静的な圧縮力lkPa(0.14psi)で、手順Bでは、ミサイル(激突物)の重量で,あるいは別の仕様により力を受けるとき、基準線を遊び場路面の上面にとる。
3.1.3 加速度− 瞬間的な速度変化率、正にも負にもなる。
3.1.4 G − 衝突に際して、ミサイル(激突物)の加速度の重力加速度(同じ単位で表わす)に対する比率
3.1.5 G max− 衝突の問にGのとる最高値
3.1.6 (被害の)重大度−G2.5 dtを衝突の全時間にわたり積分した値で任意のパラメータ
3.1.7頭部損傷基準(HIC)−衝撃強さの尺度であり、減速度のピークレベルばかりでなく減速パルスの持続する最も危険な時間も考慮して決められる
3.1.8 衝撃速度−落下物の激突時の速度
3.1.9反発速度−ミサイルが跳ね返り、基準線を通過する速度
3.1.10Gmaxまでの時間−ミサイルが衝突で基準線を通る時刻から Gmaxとなる時亥までの時間差
3.1.11動的硬度一 手頂Aに記した形状のミサイルを素早くギザギザに動かすことによって材料上に生ずる応力
3.1.12最大貫入値までの時間−ミサイルが衝突で基準線を通る時亥から最大貫入に達する時刻までの時間差
4. 試験方法の要約 |TOPへ|
4.1所定の質量と形状をもつミサイル(激突物)が、試験試料に固有の速度で激突する。
注1)この仕様書は、スポーツ施設・設備に関する ASTM委員会 F−8の管轄の下にあり、遊び場の路床(舗装)と遊具に関する小委員会
FO8−52が直接的な責任を負っている。この版は1995年5月15日に認可され、1995年5月に出版された。第1版は
F355-72であり、直前の版は F355-94である。
注2) ASTM基準年報, vol 15.09.3) ASTM基準年報, vol 14.02.4)
ASTM基準年報, vol 15.07.
注5) SAE(自動車技術者協会)より入手可能.4000ommonwealth Drive,
Warrendale, PA l5096
ミサイル内に取り付けられたトランスジューサーが、衝撃の加速度・時間関係の履歴を検知し、オシロスコープや他の記録装'置の助けをかりて記録する。オプションで貫入記録計を用いることにより、衝撃による変位履歴を記録してもよい。
4.2 本方法では以下の3つの手順を取り扱う。
4.2.1手頂Aは円筒形のミサイルを使用する。これは所定の質量と形状で、円く平坦な金属製衝突面をもつものであり、所期の目的にふさわしい衝突速度を生ずる。
4.2.2 手順Bは、所定の質量と半径の衝突面をもつ半球状のミサイルで、所期の目的に見合う速度で衝突する。
4.2.3 手順Cは、所定の質量と形状の ANSICサイズの頭状模型を用い、これは所期の目的に見合う速度で衝突する。すべての衝撃が頭頂部に集中するよう頭状模型の位置合せを行なう。
4.2.4各手順のミサイルに固有の質量と形状を6.2に詳述する。
5.1 以上の手順により得られた動的なデータは、選定された条件下での遊び場路面材料のクッション特性を示している。
6.1 試験機械 一 動的試験装置は、重くて堅い鉄床(かなとこ)上の試料に指定速度でミサイルを衝突させ、加速度〜時間の履歴を検知し、記録できるものでなければならない。鉄床(衝突の基盤となる)の質量は少なくともミサイルの100倍はなければならない。試験装置はオプションにより、遊び場路面の現地でも計測できるように設計する。どちらの場合も、試験試料は7.1に示すように、ミサイルの衝突面よりも大きな寸法を持たねばならない。試験装置とミサイルは、十分な堅さを有し、装置に望ましくない振動を生じないようにすること。
6.2 ミサイル(激突物体) −ミサイルは、4.2.1,4.2.2と4.2.3の一般的な要求事項を満たすように設計する。
注意2− 各手順ごとに以下の質量と形状が指定されている。手順A−鋭いエッジをとった円周をもち面積129cm2(20in.2),質量91kg(2lb)のものが望ましい。手順B−質量68kg(15lb),半径82.6mm(3.25in.)のものを推奨する。手順C-5.0kg(11.0lb)の質量で図1に明示した形状を持つミサイル。
6.3 記録装置 − 記録装置は以下の基準を満たすこと:
6.3.1 加速度-時間 − トランスジューサーと記録計を含めた加速度-時間の記録装置の選定は任意でよい。しかしながら、記録システムは加速度のピーク値を真の値の±5%の精度で測定できるような周波数応答性を備えていなければならない。検知と記録という全システムとしては、2〜1000Hzの周波数で500gまでの衝突を、±5%の精度で計測できるものでなければならない。システムに求められるサンプリングの最低速度は、16,000Hzもしくは16,000サンプル/秒である。加速度データチャンネルは SAE勧告 J211Oct.`90に従うこと。(4極Butterworth変換機能と1650Hzの角周波数を持つローパスフイルターは、この条件を満たしている。)1650Hzでのディジタルフィルタリングは、代用することができる。
6.3.2 衝突・反発速度 − 動的試験装置は、ミサイルのこれらの速度を精度±5%以内で記録する方法を備えていること。衝突の物理的な妨げとならず、加速度-時間の結果に誤差を招かない方法を採用する。
6.3.3 変位-時間 − 任意ではあるが、変位-時間履歴の記録をとる方が望ましい。加速度−時間軌跡に同調して検知し、衝突軸方向の変位に比例した線形信号を発信できるものであれば、その方法を取り入れる。変位が記録されるならば、試験装置は遊び場路面の上面(基準面)を決定・記録し、そこからの全貫入量を決める手段を備えたことになる。(3.1.2.参照)
6.3.4 衝突と反発の両方の速度を正確に決定する手段がある場合は、2つを時間に関して積分し、変位〜時間履歴を得ることができる。ここで速度に関する初期・終末条件は、速度〜時間関係をもたらす減速度積分計算のチェックに用いられる。積分の結果、得られた初期・終末速度が、それらの直接測定値と合致していれば、初期の変位(既に基準線を定めたところ)をゼロとし、速度〜時間記録を積分することにより、変位〜時間履歴を正確に決定できる。
7.1 試験試料は、それが遊び場路面や保護パットとして用いられているように具現化しなければならない。ミサイルの外寸と試料の端との最短距離は最小でも25.4mm(1in.)以上とし、かつ試料の厚さ以下であってはならない。
8.1 サンプルとして試験する試料の数は、データの利用目的により幅広く変化する。各条件に対し、最低でも2つの試料を試験することが勧められる。データに特定レベルの信頼性を得るために、サンプリング手頂は、手引き E105と E122に従うべきである。
9.1 試料は調整中、決して積み重ねない。試料は所定の使用条件の下におき、相対湿度50±2%,温度23±2℃の条件で最低でも4時間、あるいは希望する温度に達するまで前処理する。試料は環境チャンバーから取り出して10秒以内に試験しなければならない。(つまり衝突させる)
衝突後20秒以内にチヤンバーに戻し、次の落下までの間、最低でも2時間保存する。周囲と異なる環境での試験では、短い間隔で落下測定してはならない。
注意 3 − 多くの材料で熱伝導率の異なることと、温度分布の極端な時間依存性により、表面温度は著しく変化し、このことが試験データにばらつきをもたらすこともある。
10.1 試験機メーカーによれば、試験装置をウォームアップさせておくことが望ましい。G〜時間、貫入量〜時間記録をメーカの勧める手順により校正する。
10.2 ミサイルの下に試料を置き、遊び場路面材料の上に動的試験装置を向ける。
10.3 手順 Aでは試料の上に予めlkPa(0.14psi)の荷重を載せて、手順 B・
Cではミサイルを載せて、記録計の読みを貫入量ゼロに合せることにより、基準線を決める。周囲と異なる条件で試験する場合は、所定の温度で試料の基準線を決める。
注意4 − 手順 B・ Cによる場合は、基準線を決める際に、試料にミサイルをゆっくり置くように留意すること。
10.4 所定の衝突速度が得られるよう、ミサイルのプロペラ機構を取り付ける。
10.5 ミサイルを放つ。そして装置メーカーの勧める手順に従って結果を記録する。
10.6 3±0.25分の間隔で、3回続けて落下させる。そうでない場合は、その手法を特定すること。(9.1参照)
注意 5− 理論的落下高さの計算:落下高さデータの比較には、理論的落下高さのみを用いる。以下の計算を用いること。(試験方法 D1596参照)
H= V2/2g
ここで; H=理論的落下高さ, mm(in.),
V=速度, mm/s(in./s),
g=重力加速度,9806 mm/s/s(386 im./s/s)
この計算により、実際の落下高さを用いる際のデータの変動をなくすことができる。実際のイ直は摩擦損失の影響を受けやすい。
11.1 Cmax− 減速度〜時間履歴の中で最大の減速度を決める。
11.2 Cmaxまでの時間―減速度が最大となるまでの時間をミリ秒単位で決める。
11.3 重大度−減速度の2.5乗を時間で積分したものであり、以下のように近似計算できる。減速度〜時間記録を1ミリ秒を越えない等しい時間間隔で等分割し、2つの時刻間で減速度(G)の2.5乗の値を時間軸ごとに加算していく。この結果に時間の微小な間隔(秒単位)を掛け合わせたものが、〔G×秒〕単位の重大度の近似値となる。
11.4 頭部損傷基準(HIC)− データの積分については、もし希望するなら、頭部損傷基準(H
I C)のように、より洗練された手法を用いることもできる。このH I Cは重大度の計算方法をさらに発展させたものであり、平均を求める時間間隔を変えながら平均加速度〜時間の関係を取り扱う、最大化という数学的処理を必要としている。
H I Cを数値解析で求めるには、パルス波を十分な正確さで特徴づけられるサンプリング速さを用いて、加速度の時間分布をアナログ−ディジタル変換する必要がある。これらのデータはディジタルコンピュータにより容易に演算処理できる。
H I Cの値は、積分境界となるあらゆる時間間隔について、繰り返し計算を行なうことにより求められる。その計算式6,7)は
以下の通りである。
(1)
11.5 最大貫入量 − 最大変位を 0.254mm(0.01in.)単位で求める。
11.6 最大貫入量までの時間― 最大貫入までの時間を定める。
11.7 反発速度− 貫入量〜時間曲線の終端に、直線定規を用いて接線を引く。この線の勾配に適当な距離と時間を乗じたものが反発速度である。これに代わる方法としては、試料の回復係数やミサイルの跳ね返り割合を測定するなど他の測定装置により、反発速度を求めるというものもある。
11.8 動的硬度(手順Aにのみ関連) − 動的硬度を次のように計算する:
(2)
ここで, S:試料厚さ, cm(in.)
W:ミサイル質量, kg(lb)
A:ミサイル面積, cm2(in.2)
P:最大貫入量, cm(in.) である。
11.9 データ試験の適合性:
11.9.1 各ミリ秒ごとのG値の総和を求める。
11.9.2 試験の適合性は以下のようになる:

ここで V i=衝突開始時のミサイル速度
V r=材料表面より跳ね返り時のミサイル速度
g=重力加速度
遙如畩彳佑隆屬粒謄潺衂辰砲ける G値の総和.
11.9.3 5%以上の不一致があれば、誤差解明の必要があると保証する。原因は装置かその使用法か、またその両方かである。
12.1 報告書は以下の項目を含むこと:
l2.1.1 試験材料を完全に特定する。これは材料の種類、出所、製造元のロット番号(もし該当すれば)、厚さ(測定できれば)、その他関連する情報である。
12.1.2 試験条件、つまり温度、湿度、その他適切なデータなど。
注6) Chou,C. and Nyquist,G、,"Analytical Studies of the Head lnjury
Criterion,'’ Socion,〃 Society ofAutomotive Engineers, SAE Paper No.740082,1974
注7) 仕様書 F1292参照
12.1.3 試験年月日
12.1.4 使用した手順、ミサイルの質量と形状についての記述
12.1.5 基準線の決定方法
12.1.6 衝突速度
12.1.7 3回の衝突のうち後2回の平均値、そうでない場合は明記する。
12.1.8 Gmax
12.1.9 重大度(S l),もしくは頭部損傷基準(H I C)(任意で)
12.1.10 G maxまでの時間(任意で)
12.1.11 最大貫入度(任意で)
12.1.12 最大貫入までの時間(任意で)
12.1.13 動的硬度(任意で)
13 精度と偏差 |TOPへ|
13.1 精度− データの再現性は、異なる実験室間で±15%,同一の実験室内で±5%以内と推定できる。
注意6− 精度に関する上記の声明は一連の総当たり試験結果に基づいている。そのデータは、手引き
E691に沿って解析されている。
13.2 誤差や偏差の原因として、手順の中に原因があるとされつつも、厳密には指示されいない事項は以下の通りである。
13.2.1 衝突の問に必要な時間の変動。
13.2.2 落下高さの差や落下誘導システムの摩擦の差によって生ずる衝突速度の変動。
13.2.3 実験室温度の変動。
14.1 Gmax;頭部損傷基準(HIC);衝突;遊び場路面;衝撃吸収;表面材
|
ASTM(アステム)F-1292-99 (プレイグラウンド遊具の下及び周囲の路床系の衝撃減退に関する基準仕様書) 日本語訳 |
試験 |
ゴムチップ舗装のHIC測定|パソコン画面に出力されるHIC測定画面の説明 |


